2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

第2章 白いブリーフ -7-

渋谷の東西百貨店に岡村刑事と新米の野間はいた。 野間がしきりにメモを取っている。 「そのBVRの白いブリーフ、Mサイズは月にどれくらい売れるんですか」 「まあ、一枚2500円もしますから、そうそう数は出ませんけど」 店員用の控室で、女子店員は落ち着き…

第2章 白いブリーフ -6-

「スコッチ先生、ゆ、由起子先輩がっ、あああ」 真一は狼狽していた。 「おい、真一、落ち着け。まず、死体には触るな。毛布とかもかけるな。そして、一度、部屋を出ろ。まず、ワイパックスとヒルナミンを飲むんだ。さあ、いますぐやりなさい」 真一はリビン…

第2章 白いブリーフ -5-

真一は毎朝6時30分に起きる。これは小学校時代からの習慣である。 朝起きて、顔を洗って食卓に行くと、そこにはいつも母と妹の奈緒が笑顔で待っていた。ミルクとオレンジジュース、そして焼きたてのパンケーキ。それに、メープルシロップをたっぷりかけてい…

第2章 白いブリーフ -4-

「1枚、2枚、3枚・・・ああ、7枚」 港真一は馬刺の切れ端を数えて絶句した。 「これじゃあ、由起子先輩とキノコさんと僕の3人では馬刺の数が割り切りれないよ〜」 真一は頭を抱えた。 松本市とある料理店。 「もともと松本は馬刺で有名なんです。おいしい店…

第2章 白いブリーフ -3-

毎朝新聞社役員室。河野編集担当副社長、南原編集総局長、野沢社会部部長の3人が沈黙していた。 河野はじっと階下の車の流れを見つめている。ソファーでは南原が腕組みをしており、野沢は入り口近くに立ちすくみ、2人が口を開くのを待っている。 「で」河野…

第2章 白いブリーフ -2-

午前5時。竹橋埠頭。朝もやが立ち込めている。 かすんだ空気の中に、赤いライトが点滅している。 ジョギング姿の若い女が青ざめた顔で、刑事の質問を受けている。 その水死体のおかむら刑事が見ても死後2日は経過していた。 ジョギングしていた女は水際に渦…